マスクを外せない子供、外せるための5つのヒント~2024秋
この記事は2024年7月に公開した「マスクを外せない子供たちの現状と対応を考える~2024夏」の続編です。コロナの5類移行も続く日本のマスク社会の最大の被害者である、マスクを外せなくなってしまった小中高生の問題を考えます。「マスクを外せない子供」と検索するサイト来訪者が増加
昨年までのようにクラスのほぼ全員がマスクをしている、運動会ですらマスクをしている、という状況は改善されつつあります。一方でまだまだマスクを外せずにいる多くの子供がいます。素顔ジャパンプロジェクトのホームページには、「マスクを外せない子供」「中学生 マスク外せない」といった検索キーワードでの来訪者があります。猛暑の夏が終わる9月初旬から増え、いったん落ち着いた後10月になって再び増えました。
夏休みが終わって学校が始まる時期になって、他の子供たちがみなマスクを外しているのに、自分の子だけが着け続けている。頑なにマスクを外せずにいる…。そんな状況を心配した親御さんが、どうにかしたいと検索して来たのではないか。そのようにも推測しています。
今この文章を読んでくださっているみなさんも、そうかもしれません。この記事はそんなみなさんに向けて、少しでもヒントになればと思い企画しました。微力ながら参考になれば嬉しいです。
1.大人が「外そう」と呼びかける。学校長、教育委員会、議員に相談をする
まずは周りの大人が「外していいよ」と呼びかけること。言ったって外さない、そんな簡単に外せれば苦労しない、と反論されそうですが、それでも地道に少しずつ声掛けをしていくのが第一と思います。昨年まだクラスの大多数がマスク姿だった頃、それでも行事の集合写真では全員マスクを外して写っていました。卒業式や入学式でもみんな素顔でした(式が終わると着けてしまう子が少なからずいましたが…)。「外そう」と声がけがあったからこそ、みな外せたのでしょう。
同じ地域でも学校が違うと、片やほとんどの子が素顔、片や多くの子がマスクと差があるケースがあるようです。個人の自由との建前で何の呼びかけもしないか、あるいは子供たちの心身の成長のことを考えて「外そう」と踏み込んだ呼びかけがあるかどうか。
みなさんのお子さんが通う学校ではいかがでしょうか? 校長や副校長の考え方の差もあります。周りの子は外している、先生方も適切に声がけしている、という場合は学校に責任を求めても先生を困らせてしまうだけかもしれません。
一方で他校と比べてマスク率が高いと感じられる場合は、個人面談や保護者会などの機会に相談してみるのも一案です。体育や運動会でもマスクが目立つ場合は、教育委員会もしくはツテがあれば地元の議員に訴えてみる方法もあるでしょう。
2.不潔、息苦しさ、集中力低下、防犯面など、マスクのデメリットを伝える
あわせて重要なのは子供自身の理解を得ることです。特に周りの子は外しているという場合、同調圧力の可能性は少なく、無理に外させようとしても逆効果です…。マスクの及ぼす問題点は多くあります。たとえばこちらのページにリンク集をまとめていますので、よかったら参照してみてください。虫歯や歯周病の原因、コミュニケーションの弊害、集中力の低下などは以前から指摘されています。
素顔ジャパンプロジェクトのメンバーが経験した例としては、「マスク着用により成績が低下する」というテレビ番組の検証結果を見せて、中学生の子がマスクを外すきっかけになった、ということがありました。
※番組名や放送日時など詳細不明です。もしご存知の方がいたらお知らせください。
夏場であれば熱中症のリスクもありますし、強盗事件などが増えている中で顔が見えないのは防犯面でも心配があります。何が伝わるかは本人次第と思いますので、いろいろと試してみてください。
3.給食、体育、校外活動、放課後や休日、少しでも外せる場面を重ねていく
常に顔を隠しているのか、時々外せるのか。マスク依存症の度合いも個人差があると思いますが、まずは少しでも外せる場面を作っていけるとよいですね。学校生活においてマスクを外しやすい場面は給食、そして体育の授業が挙げられます。遠足や修学旅行など様々な行事も外すきっかけを作りやすいです。合唱コンクールなどの際も素顔で舞台に上がることが当たり前に戻りつつあり、むしろ保護者のほうがマスク姿が目立つのではないでしょうか。
放課後や休日はどうでしょう? 友達と遊ぶとき、家族と出かけるとき、または塾に通うときなど、学校の中ではマスクを外しづらいけど、仲の良い友達と一緒の時は外しやすいのであれば嬉しいことです。ファーストフードやファミリーレストランで、中高生が友達同士素顔で笑いあっている様子はよく見かけます。
家族で出かけるときも、あえてちょっと遠出して日常生活圏を離れたほうが、他人の目を気にせずマスクを外しやすいかもしれません。住宅街よりも観光地のほうが周囲も素顔の人が多いでしょう。
4.山登り、キャンプ、水泳、海外旅行、みんな素顔が当たり前という経験をする
どこに出かけるのも楽しいですが、おすすめはみんな素顔が当たり前の場所。たとえば山登りやキャンプ、あるいは海やプールなどのアウトドアです。コロナ禍の2020~21年の頃でも、ひとたび山に登れば、マスクをしている人はほとんどいませんでした。さらには海外旅行も、日本のマスク社会の異常性に気づく機会になります。修学旅行で海外へ行ったのをきっかけに、マスクを外せるようになったという事例も聞きます。もちろんそのためにわざわざ海外へ行くというのはおかしな話ですが、外国を訪れることで客観的に日本の様子を知れるのは、よい学びにもなるでしょう。(参考:世界のマスク事情について)
今の子供たちは年齢によって、それこそ物心ついたときからマスクで顔を隠した人間だらけという社会を経験してきました。周りみんなが素顔である、表情が見えるのが当たり前である、そんな日を経験させてあげることは、すでに素顔回帰した子にとっても大切なことではないでしょうか?
5.最大のチャンスは来年の春。卒業/入学/進級シーズンに外せるように
これから冬の寒い時期、街なかでもマスク姿の人が増えて外しづらくなりますね…。でも最大のチャンスはその後、春に訪れます。卒業式、そして入学式。式典の際は全員素顔になって、小学校であればいつもと違う正装で、中学や高校の入学であれば真新しい制服姿で、気持ちを切り替えるチャンスになります。当該年代でなくても、在校生として出席するのであれば同様の機会になるでしょう。
進学や進級で新しい友達と出会う春。当然マスクで顔を隠したままよりも、思い切ってマスクを外して素顔になったほうが、コミュニケーションを取りやすく、顔と名前を覚えてもらいやすく、友達を作りやすい。そんなことは本当は誰より子供自身がよく分かっていることだと思います。
昨年はずっとマスクをしていた友達が、今年4月から素顔になったという事例はたくさんあります。1年遅れたからってなにも恥ずかしがる必要はありません。外す勇気を応援してあげてください。