小中学校/体育や運動会におけるマスク問題を追及する 前編
長引くマスク社会における最も深刻な問題は、子供たちの体育の授業や運動会におけるマスクです。顔を隠し続けることが常態化し、顔を見せるのが恥ずかしくなってしまった子供たちの中には、呼吸が苦しく熱中症のリスクがある体育の授業や運動会でさえ、マスクを外せずにいるケースが少なくありません。2021年にはマスク着用のまま持久走を走り、亡くなってしまった小学生の事例もあります。コロナが5類に移行した2023年度になっても、中学高校で半数超の子がマスク着用のまま体育の授業に参加しているという衝撃的な調査結果もあります。
中高生の8割超が今も教室内でマスク着用、体育でも半数超
なぜこんなことになってしまったのでしょうか? 学校が、保護者が、地域社会が、大人たちが、なぜ責任をもって子供たちのマスクを外してあげられないのか? マスク着用のままの危険な運動を黙認してしまうのか? 2024年の現状をリポートします。
全体的な傾向から先に言えば、昨年に比べて子供たちの素顔率は上がり、体育や運動時のマスク着用率は下がっています。新聞やテレビなどの大手メディアで報じられることは無いものの、現場の子供たちの深刻な状況を目の当たりにし、危機感を持った先生方も大勢いらしたことでしょう。
しかし問題がなくなったわけではありません。いくつかの事例を紹介します。
神奈川県海老名市/運動会の練習にて熱中症で搬送
2024年5月29日、神奈川県海老名市の小学校にて、運動会の練習後に児童39人が相次いで体調不良を訴え、病院に救急搬送されたとの報道がありました。運動会の練習後に小学生39人熱中症か、救急車で搬送…神奈川・海老名市
この件について海老名市の教育委員会にマスク着用の有無について問い合わせたところ、次のような回答でした。
「お尋ねのありました、運動会練習中のマスク着用についてですが、マスクは外して練習に参加するよう促しております。」
促すのは当たり前ですが、実際に外していたかどうかの言及がなかったため再度問い合わせたところ、1週間ほど遅れて回答がありました。
「救護の段階では全員マイクを外させて対応をしていますが、発症時の状況について、マスク着用の有無については記録もないため、回答は控えさせていただきます。マスクの着脱については各ご家庭のお考えもあり、学校も強制できるものではありませんが、気温や熱中度指数に留意するとともに、児童生徒の体調を注意深く観察して、場合によっては鼻だけでも出すように促すなど状況に応じた指導を行ってまいります。」
文脈から判断するに、マスク着用のまま運動をさせていたと読み取れます。外させていたのであれば、そのように回答があるはずですし、最後の「鼻だけでも出すように促す」という文章には繋がりません。なおかつ、あたかも家庭の考えであるような責任逃れの回答。お役所答弁の典型とはいえ、熱中症で搬送されてしまった児童の健康を、どこまで本気で守ろうと考えていたのか残念でなりません。
<追記>
当該小学校の学校だより5月号にて、「登下校時はマスクを外そう」という呼びかけがされていたことが分かりました。結果として児童が外せているのかどうかは不明ですが、学校現場で発信がされていた事例として追記いたします。
山梨県南アルプス市/運動会の練習にて熱中症で搬送
海老名の件から遡ること数日前の2024年5月24日、山梨県南アルプス市の小学校にて、運動会の練習後に児童12人が熱中症の症状を訴え、うち6人が救急搬送されたという報道がありました。運動会の練習を終えた児童12人が熱中症の症状を訴え 6人が救急搬送 山梨
この件について南アルプス市の教育委員会にマスク着用の有無について問い合わせたところ、次のような回答が得られました。
「当該小学校では、体育の授業等におきましては、熱中症対策のためにマスクを外すように日頃から担任が指導をしております。先日、救急搬送された児童の中には、マスクを着用していた児童はいませんでしたが、当日マスクを着用したまま運動会の練習をしていた児童が若干名いたことも事実であります」
海老名市との違いは事実関係をきちんと認めて答えてもらえたこと。日頃から外すように指導していること、搬送された児童のマスク着用はなかったが、他に着用していた児童がいたこと。同様のニュースではありましたが、前向きな対策と改善の意思が感じられる回答でよかったです。
海老名市の件、南アルプス市の件、みなさんはどのようにお感じになりますか?