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素顔ジャパンプロジェクト

企業や公共施設など組織の「遅さ」がマスク社会を助長

 2023年3月に国の指針でマスクが個人の任意とされて以降も、なかなか進まずにいる日本人の脱マスク。みなさんはなぜだと思われますか? もちろんいくつか理由は考えられますが、日本の企業や公共施設を含めた組織としての「動きの遅さ」も大きいのではないでしょうか?

素顔率の高い業種、低い業種の違いは?

 街を歩けば素顔の人も多いのに、ひとたびお店や施設に立ち入れば、従業員は全員マスク。プライベートでは素顔の人も勤務中はマスク。従業員がみんなマスクだから、外では素顔の人もなんとなく入口でマスクを着けてしまう。企業や店舗がマスク社会を助長し続けていると言っても過言ではありません。

 その中で素顔率が比較的高いのは、個人経営のような小規模店舗、飲食店、特に居酒屋など夜の業態、および外国人客も多い観光地のお店や、テーマパークなどエンターテインメント関連の施設。

 逆にマスク率が高いのはスーパーやデパートなどの小売店、より規模の大きなチェーン店。銀行や郵便局、図書館や役所の窓口などの公共施設も、マスク姿で顔が見えない印象です。

 1つには顧客および従業員の年齢層の違いがあるかもしれません。若者相手の業種ほど素顔率が高く、高齢者相手ほどマスク率が高いという差です。しかしここでもう1つの理由、対人的なコミュニケーションを重視しているか否かを、重大なポイントとして指摘したいと思います。


人と人とのコミュニケーションを軽視…

 大手チェーンに比べて個人店ほど素顔率が高いのは、より顧客とのコミュニケーションが密であり、相手に顔を覚えてもらうことが重要だからでしょう。極端な話チェーン店はセルフレジやロボット接客でも代替が利きますが、小規模な店ほど人と人のコミュニケーションの上に商売が成り立っています。

 アルバイト従業員の割合が多くスタッフ同士の交流や成長を期待しないチェーン店や、税金で運営されて経済的な効率を考えない公共施設ほど、内部から疑問や改善の声も上がりづらく、盲目的惰性的にマスク着用を続けているのかもしれません。

 とはいえ規模の大きな組織や店舗で人数が多いほど、対顧客だけでなく、従業員同士の円滑なコミュニケーションも大事なはず。お互いマスク姿では相手の表情や心の機微を窺うことができず、ちょっとした会話のやり取りからアイディアが生まれることもしづらく、初対面同士であれば顔を覚えて仲良くなるにも障壁があります。

 デメリットのほうが大きいと思うのですが、経営者、店長、施設長のみなさま、いかがでしょうか?

1年も2年も遅れてようやく素顔回帰の兆し

 新型コロナの5類移行から1年、よもや永続するようにも思えた組織のマスクですが、ここにきてようやく素顔回帰の動きが見えてきたようです。

 先日久しぶりに近所の書店を訪れたところ、店員が素顔で応対してくれました。駅前のスーパーでは、いまだマスク率が高い一方、レジ前のアクリル板(!)が撤去されていました。すっかり薄汚れて割れたり補修のテープが張られたりで見た目も悪く、感染対策どころか汚く不潔なだけと思っていたのですが、やっとです。

 スーパーと並んで顔の見えない印象が強かった家電量販店。ヨドバシカメラやビックカメラは5月以降素顔接客に切り替えたようです。とりわけヨドバシカメラの新宿西口本店は全員素顔になっていて、数年前にタイムスリップしたかのような不思議な感覚に襲われたほどです。残念ながらヤマダ電機は全員マスク、PCやテレビなど高額商品を買うには顔が見えたほうが安心なはず。今後の方針転換を期待したいものです。

 みなさんがよく行くお店の状況はいかがでしょうか? 素顔ジャパンプロジェクトのメンバーの1人が以前、笑顔の見える店員がいたら褒める、感謝を伝えるようにしていると言っていました。顔の見える接客を歓迎して、素顔の日本を取り戻していきたいものですね。

 2022年の時点で脱マスクが進んでいた諸外国と比べると、日本は1年どころか2年遅れています。最近は円安の影響もあって安いニッポンと言われることが増えていますが、この対応の遅さ、顔の見えない人間関係を引きずっていることこそ、社会の停滞と無縁ではないのではないでしょうか? これ以上世界に取り残されないことを切に願います。


(参考記事)チェーン店舗/企業/各種施設の素顔率、脱マスクの現状について

(2024年6月07日 木舟周作)


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