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素顔ジャパンプロジェクト

タニタの熱中症に関する意識・実態調査2024より「マスク熱中症」について考える

大手メディアが話題にしない炎天下のマスク、健康関連企業のタニタが調査

 昨年に続いて猛暑が続く今夏、熱中症への注意を促す報道は多いものの、話題にされるのはもっぱら「水分補給」や「エアコン利用」ばかりで、「マスクを外そう」という呼びかけはありません。通学中の子供たちのほか、70歳80歳を越えているとおぼしきお爺さんやお婆さんが炎天下、大粒の汗を流して顔を真っ赤にして、それでもマスクを外さず歩いているさまは異様だと思うのですが…。

 そんな中、健康関連企業の株式会社タニタが毎年行っている「熱中症に関する意識・実態調査」の中で、マスクについての調査もなされていましたので、紹介をしたいと思います。様々な項目にわたっており、全31ページのPDFファイルにて公表されています(下記リンク参照)。

熱中症に関する意識・実態調査2024(株式会社タニタ)

 このうちマスクについて触れられている箇所が4つあります。一部順序を入れ替えて記述します。

夏のマスク着用実態「猛暑日でも着用」4割?「運動時も着用」2割?

 1つめは夏のマスク着用実態調査。「夏になっても着用 48.2%」「猛暑日でも着用 41.0%」「屋外で距離が確保できる場合も着用 34.3%」「夏に運動する際も着用 22.1%」となっています。

 ただ実際に街を歩いて見る限り、場所や時間帯にもよりますがおよそ8割は素顔の印象です。調査は6月なのでタイムラグがあるのかもしれません。もう少し素顔回帰が進んでいるようにも感じられますが、みなさんはどう思われるでしょうか?


【熱中症に関する意識・実態調査2024(株式会社タニタ)23ページ】


 上図は年齢別の回答、下図は一昨年、昨年からの経年比較です。


【熱中症に関する意識・実態調査2024(株式会社タニタ)24ページ】


マスク着用者のうち熱中症の症状を感じた人の割合は…75%!

 次に「マスクが原因で具合が悪くなったことがあるか?」という設問。「ある」と答えた人が36.5%と3分の1をやや越える程度。この数字、多いと思いますか? 少ないと思いますか?

 タニタの調査報告書の文中では「暑い時期のマスク着用による“マスク熱中症”と思われる症状を経験した人は少なくない」と記載され、「マスク熱中症」というショッキングな用語も登場しています。


【熱中症に関する意識・実態調査2024(株式会社タニタ)16ページ】


 留意したいのは、普段からマスクを外している人はおのずと「いいえ」になるだろうこと。上述の実態調査にて「夏になってもマスクの着用を続けている」と回答した人は48.2%。逆に言えば外している人が51.8%います。調査回答の母集団(n=1000名)は共通ですので…単純に計算すると、

(1)そもそもマスクを外している人 … 51.8%(=100-48.2)
(2)マスクの着用を続けている人 … 48.2%
(3)マスクを着用して熱中症の症状を経験した人 … 36.5%
(4)マスクを着用して熱中症の症状を経験しなかった人 … 11.7%(=48.2-36.5)

 3番のマスクが原因で熱中症になった人を、2番のマスクの着用を続けている人で割り算すると、

(5)夏のマスク着用者のうち熱中症の症状を経験した人 … 75.7%(=36.5÷48.2)

 実に4人に3人が熱中症の症状を感じながらマスクを着けていることになります。上記の年代別の集計結果からは、年を取るほど具合が悪くなった自覚症状が感じにくくなっていると読み取れますので、実際の危険性はもっともっと高いのかもしれません。

熱中症対策「マスクをはずす」の実施率が上昇、素顔回帰のきっかけに

 続いては熱中症対策についての設問。水分や塩分の補給、こまめな休憩などが上位に並び、マスクについては13番目とさして高い数字ではありません。

 ただこちらも、すでに素顔の人はあえて「マスクをはずす」の回答を選びませんので、「着用を続けている人」を分母と考えればそこそこ大きな比率ではないでしょうか?

 マスクに慣れ過ぎて顔を見せるのが恥ずかしくなってしまった人も一定数いるようです。猛暑がきっかけ、熱中症になりたくないという理由付けでもよいでしょう、このタイミングで外し始める人が他にもいますので、少しの勇気をもって素顔生活回帰への一歩になればと切に願います。


【熱中症に関する意識・実態調査2024(株式会社タニタ)17ページ】


 また勤務中にマスクを外せないという人も少なからずいます。室内でも熱中症リスクはゼロでなく、まして屋外の暑さは生命の危険を伴います。郵便や宅配便の配達員、工事建設現場の警備員、スーパーなど店舗従業員の屋外作業、あちこちでマスク姿のまま汗だくで働いている人たちを見かけます。

 最近増えている外国人旅行者から見たら、まさに「Why Japanese People? なんでこんな暑いのにマスクしているの? Unbelievable!」という印象を持たれてしまいそうです。

 外している人もいますので「個人の自由」なのかもしれませんが、従業員の健康を本当に大切に考えるならどうあるべきか。企業が責任をもって、問題を放置せずに真剣に考えてほしいことだと思います。

「体育の授業ではマスクをはずしたほうがいい」中学生の親では8割半

 最後に体育でもマスクを外せない子どもたちの問題について。大手メディアが黙殺するこの巨大な問題を、タニタが取り上げてくれていることにまず感謝です。

 体育における「マスク熱中症」を懸念する声が小学生の親で71.8%、中学生で84.2%、高校生で75.0%です。中学生の親で特にこの比率が高いのは、逆に言えば運動時ですらマスクを外せない子の割合がとりわけ中学生に多いこと、我が子のマスク依存を心配していることの裏返しではないでしょうか?

 一方「あてはまらない」と「全くあてはまらない」をあわせて25%、およそ4分の1の保護者が運動時のマスクを許容していることも気になります。仮にマスクをしたまま我が子が熱中症で倒れたとしたら、いったい誰の責任を問うのでしょうか? 

 学校現場にも危機感があり、運動会などの行事の様子を見る限り、昨年に比べて子供たちのマスク着用率は着実に減っています。ただ個々の地域や学校によって差があるようです。熱中症とマスクのリスクについて児童生徒に教えること、および保護者にも丁寧な説明と理解を求めることが大切です。


【熱中症に関する意識・実態調査2024(株式会社タニタ)25ページ】


「マスク熱中症」の実態、マスク依存の問題について考えるきっかけに

 タニタの調査にて示された「マスク熱中症」の実態、みなさんはどうお考えになるでしょうか?

 真夏の炎天下、熱中症の症状を感じつつも、なおマスクを外せないことの危険性について、行政やメディアはもっと話題にして周知していくべきでしょう。「外したほうがいいよ」のひと言が言える世の中に。議論のきっかけになることを望みます。


配布用チラシ

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